ステイトメント

「やわらかい、突き刺さる」
 今回の展示は近作の「葡萄」も含めて、彫刻の基本である粘土を原型に使用したものが多く「やわらかい」という言葉はそこから来ています。
どんな形にもなるやわらかい素材である粘土。
粘土には本来の形というものがなく、また型取りの作業によってブロンズや合成樹脂のような素材に置き換えられて作品になる、素材であって素材でないとらえどころのないものです。
また型取りという形なきものを形に複製する特殊な技法は、こう言って良ければ、トリック、もっといえば欺瞞です。
これは彫刻の影の部分ですが、逆にそこには、彫刻と現実、あるいは彫刻と日常とがつながってしまった、言わば隠されたリアルがあります。
つまり現実や日常に「突き刺さる」彫刻。

他にアクリル板の積層による作品や平面作品も含め、素材と表現との境界を突き崩して向こう側の世界に触れるような、小さな断片たちを提示したいと思っています。


袴田京太朗 展「やわらかい、突き刺さる」
2018年4月15日(日)ー 6月17日(日)

Gallery&Café

HANASAKAN Café Sweets


Reception


袴田 京太朗 Kyoutarou Hakamata

1963静岡生まれ
1987武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒業
1994-95文化庁芸術家在外研修員として渡米
1996-97五島記念文化賞美術新人賞受賞
2012第22回タカシマヤ文化基金タカシマヤ美術賞、平成24年度静岡県文化奨励賞受賞