アーティストコメント

「風景の作用」
私にとって「風景」とは、単なる目の前に広がる景色ではなく、人が発見してきたものです。また、人は環境を変化させてゆく存在だと考えれば、その思惑が風景化されてゆくものだと考えています。そしてその「風景」に取り囲まれることで、それが私たちに働きかけ、私たちの所作を決定してゆくものにもなっています。ですので、風景には作用があると考えています。
一方で「自然」というものがあります。特に現代の都市の風景における自然とは、もはや樹木がそこにあるからそれが自然とは単純に指示せないものになっています。人が出力してゆくもので構成された人工的な空間は、その発生の時点では生来の質や色や大きさ、性質を持たず、線によって思考される、もしくは設計されるものだと私は考え、そのことについてもう一度捉えなおそうとすることが、ドローイングの仕事につながっています。それは、私たちの外について考えることでもありますが、同時にその根源となっている内についてのアプローチでもあります。こうして、最近では意識や感覚それ自体をモチーフとして絵を描くことはできないかと考え作品が生まれてきます。


関根直子展「風景の作用」
2019年4月14日(日)―6月2日(日)

Gallery

Café

HANASAKAN Café Sweets


Reception


関根 直子 Naoko Sekine

1977東京生まれ
2001武蔵野美術大学大学院造形研究科美術専攻油絵コース修了
2013文化庁在外研修員としてパリに研修滞在